人生100年時代、プログラミングは趣味と実益を兼ねた有力な選択肢

PUBLISHED AI #プログラミング学習

人生100年時代、医師にとってプログラミングは、趣味と実益を兼ねた有力な選択肢になり得ます。やり込み要素が多く、生成AIの登場によって以前より挑戦しやすくなりました。自分のクリニックの業務改善に役立てたり、将来的には副業や情報発信につなげたりすることも可能です。長い人生で腰を据えて取り組める趣味として、その魅力を考えます。

人生100年時代といわれる中、長い人生を考えると、さまざまな趣味の選択肢があります。その中でも医師にとっては、実はプログラミングというのは、趣味と実益を兼ねた一つの有力な選択肢になり得るのではないかと私は考えています。

今回は、なぜプログラミングが医師にとって趣味としても実益の面でも魅力的なのか、私自身の経験も踏まえながら考えてみたいと思います。

人生は長い。仕事は永遠にはできない

人生100年時代と言われています。人間の平均寿命はおおむね80歳台で、日数に換算すると約3万日になります。もし100年生きるとすれば約3万6,500日で、今後は4万日に近い人生を送る人も、少しずつ増えてくるのかもしれません。

そんな中で、我々臨床医がいつまで仕事を続けるのかという問題があります。多くの勤務医の先生は、65歳前後の定年を一つの区切りとして引退することになるでしょうし、開業医の先生であっても、70歳代になれば引退を考える方が多いのではないでしょうか。臨床という仕事を、亡くなる直前まで永遠に続けるというのは、やはりなかなか難しいものだと思います。

もともと趣味が豊富な先生であればよいのですが、医師は意外と仕事中心の生活になりやすいものです。仕事以外では勉強をしたり、本を読んだり、旅行に行ったりすることはあっても、何か一つのことに腰を据えて長く取り組む趣味を持っている先生は、意外と少ないのではないかと思います。

もちろん、ゴルフやスポーツ、マラソンなどに熱心に取り組んでいる先生もいらっしゃいます。ただ、私がこれまで見てきた範囲では、「趣味は何ですか」と聞かれると、特にこれといったものがないという先生も、結構多いように感じています。

そんな中で、プログラミングというのは、趣味として楽しめるだけでなく、業務改善という実益にもつながります。また、場合によっては引退後の副業に生かしたり、ご自身で情報発信をしたり、新しいサービスを作ったりすることにもつなげられます。非常に汎用性が高く、しかもやり込み要素もかなりあります。そう考えると、医師にとってプログラミングは、長く続けられる趣味の一つとしてかなり魅力的なのではないかと思います。

医師とプログラミングは、そもそも相性がいい

プログラミングというと、理工系の分野というイメージを持つ方も多いかもしれません。ただ、私は医師とプログラミングの相性は、実はかなりよいのではないかと思っています。医師はもともと凝り性な人も多く、学習を積み重ねることにも慣れています。また、パソコンが得意な先生や、子どもの頃からゲームが好きだった先生も少なくありません。そのため、プログラミングに対して、最初から強い拒否反応を持つ先生はそれほど多くないのではないかと思います。

このサイトでもご紹介している通り、プログラミングの最初の壁を一度乗り越えてしまえば、現在は生成AIがあります。そのため、自分が作りたいものや、「この業務をもう少し改善したい」と思ったことを、以前よりもはるかに短時間で形にできるようになっています。一度仕組みを作ってしまえば、その効果をその後も継続して得られることも多く、実務的なメリットはかなり大きいと感じています。

そして、趣味として考えたときの最大の魅力の一つが、「やり込み要素」だと思います。プログラミングは非常に広い範囲の知識にまたがっており、一人ですべてを深く理解するのは現実的ではありません。これは、我々医師がすべての診療科について専門医と同じレベルの知識を持つことが難しいのと、少し似ていると思います。つまり、いくら学んでも完全に攻略し切ることは難しく、しかも次々に新しい技術が登場します。そのため、飽きにくいのです。「もうやることがない」という状態にはなかなかなりません。逆に言えば、いくら取り組んでも完全に習得することは難しいとも言えますが、「何かを極めたい」「もっと先に進みたい」というタイプの先生にとっては、非常にやり込みがいのある趣味だと思います。

趣味というと、レジャーやリラックスのために行うものもあります。一方で、医師の中には、趣味であってもかなり深くまで突き詰める方が少なくありません。例えば楽器を趣味にしていても、セミプロのようなレベルまでやり込む先生もいますし、中には副業や仕事につながるところまで取り組む方もいます。フルマラソンであれば3時間切りを目指したり、筋力トレーニングであればボディビルやフィジークの大会に出場したりと、趣味であっても徹底的に追求する先生は、私の周囲を見ていても少なくないように感じます。

そう考えると、プログラミングもまた、医師が深く取り組める趣味の候補として十分にあり得るのではないかと思います。

後々、副業につなげられる可能性もある

あまり仕事の話につなげてしまうと、「趣味」というところから少し離れてしまうかもしれません。ただ、プログラミングがある程度できるようになり、なおかつ医療現場の知識を持っていると、「ここをもう少し改善できるのではないか」「こういうサービスがあれば便利なのに」といった視点が自然と見えるようになってきます。

そして、プログラミングを多少扱えるようになれば、そうしたアイデアを自分で形にすることもできます。例えば、簡単なツールであっても、それを私のように副業につなげることも考えられます。また、臨床医を引退した後に、プログラミングを使った仕事を受けたり、そのための情報発信サイトを自分で構築したりすることも可能です。

もちろん、プログラミングを学べば必ず副業になるというわけではありません。ただ、医療現場の知識とプログラミングの両方を持っていることで、将来的な仕事の選択肢を増やせる可能性は十分にあるのではないかと思います。

注意が必要なのは、完璧にしようとしないこと

先ほど、医師とプログラミングは、医師が学習を積み重ねることに慣れているという点で相性がよい、というお話をしました。ただ、これは実は少し諸刃の剣でもあると思っています。というのも、プログラミングは必要となる知識の範囲が非常に広く、しかも、それを効率よく順番に学べるカリキュラムが必ずしも分かりやすく整備されているわけではないからです。

Web制作の入口としてはHTMLやCSSなどが有名です。これらの基礎知識を学ぶこと自体は、医師であればそれほど難しくないと思います。しかし、実際にWebサービスを公開しようとすると、それだけでは終わりません。サーバーを用意したり、ドメインを取得したり、セキュリティについて考えたりする必要もあります。場合によっては、本来公開してはいけないファイルを公開領域に置いてしまい、重要な情報が外部から見える状態になってしまうといった問題も起こり得ます。こうした注意点まで含めると、必要な知識は一気に広がります。そのため、あらゆることを完璧に理解してから始めようとすると、途中で挫折してしまう可能性がかなり高いと思います。

大切なのは、とりあえず一度、最後までやり切ることだと思います。例えばWebサービスであれば、まずは小さなものでも、実際に公開するところまで一通り経験してみる。前の記事でも使った例えですが、音楽制作であれば、荒削りでもとりあえず一曲を最後まで作ってみる。それから少しずつ肉付けしていく、という流れの方がよいと思います。

これが本当に難しいところで、前回の記事で書いた「最初の一歩が重い」という話にもつながります。受験勉強とは少し事情が異なります。日本では受験勉強の参考書や問題集は非常に豊富で、塾や予備校もあり、「まずこれをやり、次にこれをやる」という道筋が比較的見えやすくなっています。このまま積み上げていけば、その延長線上に合格がある、というイメージも持ちやすいと思います。一方で、プログラミング学習では、その道筋が非常に見えにくいと私は感じました。

なぜプログラミングは独学しにくいのか

では、なぜプログラミングでは学習の道筋が見えにくいのか。私なりに考えてみると、いくつか理由があると思います。その一つが、特に独学するための環境を作ること自体が難しいという点です。

従来、プログラミングを仕事として身につける場合には、会社に入って先輩や同僚から教えてもらいながら学んでいくケースが多かったのではないかと思います。「これは今覚えた方がよい」「これはまだ必要ない」といった知識の取捨選択も、周囲の人がある程度してくれます。いわばメンターや家庭教師のような人が近くにいて、さらに実際の仕事という解決すべき課題もあります。その課題を解決するために必要な知識を身につけていくうちに、少しずつ仕事ができるようになっていくわけです。

また、大学などで情報系・理工系の分野を学ぶ場合にも、周囲には同じことを学んでいる学生がいて、先生や先輩、大学院生などに質問できる環境があります。結局、周囲の人に助けてもらいながら身につけてきた人が多く、完全に一人でゼロから独学するというのは、もともと難しい分野の一つなのではないかと思います。逆に言えば、最初の部分を誰かと一緒に乗り越えることができれば、その後はかなり進みやすくなります。現在は特に生成AIもありますので、なおさらその傾向は強いと思います。

これだけプログラミングの重要性が言われるようになり、小学校でもプログラミング教育が行われる時代です。それなら、「Webサービスを一つ公開するところまで」を一本道で説明する入門書を作ればよいのではないか、と思われるかもしれません。ただ、実際にやってみると、これもなかなか難しいのだと思います。

例えば、どのレンタルサーバーを使うのか、どこでドメインを取得するのか、どのツールを使うのかといったところまで具体的に指定すれば、かなり分かりやすい教材を作ることはできるでしょう。ただ、そこまで具体的に書くと、特定の事業者やサービスを前提とした内容になってしまいます。

さらに大きな問題は、環境がものすごいスピードで変化することです。先生方も、パソコン関係の本を買って読んでみたところ、「本に載っている画面と自分の画面が少し違う」「書いてある場所にボタンや設定項目がない」といった経験をされたことがあるかもしれません。プログラミングやWebサービスの世界では、この変化が非常に速く、ツールや画面、推奨される方法も次々に変わっていきます。そのため、「この本の通りに最初から最後まで進めればよい」という入門書を作っても、内容の一部が比較的早く古くなってしまうという問題があります。

もう一つは、そもそもプログラミングを身につけた人自身が、体系的なカリキュラムで学んできたとは限らないということです。先輩に聞いたり、さまざまな本やWebサイトから断片的に知識を得たり、目の前の課題を苦労しながら解決したりするうちに、いつの間にかできるようになった、という人も多いのではないかと思います。そのため、「初心者がどの順番で学べばよいのか」を体系的に教えること自体が、実はかなり難しいのだと思います。

今ではプログラミングスクールもたくさんあります。ただ、完全なテキストを順番に学べば誰でも同じように習得できるというよりは、実際には分からないところで講師に質問し、目の前の課題を一緒に解決してもらいながら、少しずつ全体像が分かってくるという学び方も多いのではないかと思います。少なくとも、私自身はそのような形で最初の壁を乗り越えました。

だからこそ、最初から完璧に独学しようとしなくてもよいと思います。プログラミングは最初の一歩こそ重いのですが、そこを乗り越えると実務的にかなり役に立ちますし、自分専用のツールを作れるようになると、日常の仕事や生活そのものも便利になっていきます。そして、作ること自体もだんだん面白くなってきます。

学習を積み重ねることに慣れている医師であれば、時間とやる気があれば十分に乗り越えられる分野だと私は思います。ただ、もし独学で最初の壁にぶつかってしまうのであれば、最初の1〜2か月だけスクールを利用したり、私が経験したように、オンライン講座で分からないところを講師に直接質問できる環境を利用したりするのも一つの方法です。もちろんある程度のお金はかかりますが、趣味への投資として考えれば、ゴルフや楽器などと比べて極端に高額というわけでもありません。

そして、一度身につけた「自分で調べ、生成AIも使いながら、欲しいものを形にする」という力は、その後も長く使うことができます。趣味として楽しみながら実務にも応用できることを考えると、最初の一歩に多少お金や時間をかけてみる価値は、十分にあるのではないかと思います。

まとめ

プログラミングは、始めるまでのハードルこそ少し高いものの、一度最初の壁を乗り越えれば、長く楽しめる趣味になります。しかも、単に楽しむだけではなく、自分のクリニックの業務改善に使ったり、将来的には副業や情報発信につなげたりすることもできます。

何より、いくら取り組んでも学ぶことがなくならず、生成AIによって以前よりはるかに挑戦しやすくなっています。長い人生の中で、何か腰を据えて取り組める趣味を探している先生であれば、プログラミングは一度試してみる価値のある選択肢ではないかと思います。


About the author この記事を書いた人:内科診療所の院長

IT企業でもコンサル会社でもなく、診療をしている開業医が、コードの作成から運用まで一人で行っています。取り上げるのは、実際に試して運用しているものだけです。

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