Claude Codeをマニュアルの案内役にする――分厚い説明書を読まずに新しいシステムを使う方法

PUBLISHED AI #Claude Code #ChatGPT

eLTAXやオンライン請求などの分厚いマニュアルをClaude Codeにまとめて読み込ませ、質問しながら新しいシステムを使いこなす方法を、開業医の実務での使いどころや注意点とあわせて紹介します。

以前、当サイトでClaude Codeをマニュアルガイドとして活用する方法について、少しご紹介したことがあります。ただ、この使い方は思っていた以上に応用範囲が広く、実際の業務効率化にも大きく貢献するものです。そこで今回は、一つの記事として独立させ、具体的な活用方法や、私自身が使ってみて感じたことについて、改めて詳しくご紹介します。

開業医にとって、マニュアルを読む作業は意外と大きな負担

クリニックを運営していると、さまざまな手続きや書類業務が発生します。制度の変更によって新たな申請や届出が必要になったり、これまで使っていなかったシステムを導入しなければならなくなったりすることも珍しくありません。私の場合であれば、eLTAXやe-Taxといった、普段あまり使い慣れていないシステムを操作する機会もあります。また、新規開業の先生であれば、電子カルテの操作方法をはじめ、さまざまなシステムのマニュアルを読みながら、一つずつ使い方を覚えていく必要があります。こうした作業は、実際に取り組んでみるとかなり面倒なものです。

一般的には、マニュアルや説明書を最初から読み込むか、必要そうな部分だけを拾い読みして、実際に操作しながら覚えていくという方法になると思います。しかし、例えばオンライン請求やオンライン資格確認のマニュアルを見てみると、かなりの分量があります。しかも、説明がわかりにくい部分も少なくありません。自分が使っている環境とはまったく関係のないLinux向けの説明など、あらゆる環境を網羅するための記載も含まれており、必要な情報を探し出すだけでも一苦労です。実際に必要な作業はそれほど多くなくても、そこにたどり着くまでに時間がかかってしまいます。

これまでは、こうしたマニュアルを何とか飛ばし読みしながら、試行錯誤して作業を進めるしかありませんでした。しかし、Claude Codeを利用することで、この負担が大きく軽減されるようになりました。今回は、その具体的な方法についてご紹介します。

Claude Codeにマニュアルをまとめて読み込ませる

具体的な方法は、それほど難しくありません。例えば、eLTAXを新しく使い始めるケースを考えてみます。まずは、公式サイトなどで公開されている最新版のマニュアルを一通りダウンロードしてきます。最近では、ChromeとClaude Codeを連携させる環境を整えておけば、資料の検索やダウンロードといった作業自体も、Claudeに指示して進めてもらうことができます。つまり、最初の資料集めから、かなりの部分を自動化できるようになっています。

次に、集めた資料を一つのプロジェクトにまとめます。例えば「eLTAX」という名前のディレクトリを作成し、その中にダウンロードしたマニュアルをすべて保存しておくという方法です。これだけで、eLTAXに関する資料をまとめて参照できる環境が出来上がります。こうしたディレクトリの作成やファイルの整理も、Claude Codeに指示すれば、ターミナル経由で実行してもらえます。以前であれば、自分でフォルダを作成し、ファイルを移動して整理していたところですが、現在ではそうした操作を一つずつ手作業で行う必要もなくなってきました。

Claude Codeをターミナルで利用できるように設定しておけば、例えば「これからeLTAXについて調べたいので、新しくプロジェクトを作って、必要な資料を集めて整理してほしい」と指示するだけで、作業を進めてもらうことができます。プロジェクトの作成から資料の収集、保存先の整理まで、かなりの部分を任せられるわけです。さらに、私のように音声入力を利用している場合には、キーボードで文字を打つことすらほとんどありません。やりたいことを口頭で説明するだけで、Claude Codeが実際にファイルを作成したり、資料を整理したりしてくれます。

こうした使い方をしていると、近未来の世界に入ってきたような感覚があります。少し話がそれますが、ドラマ『VIVANT』の第2シーズンには、別班のAI「ハヤト」が登場します。キムラ緑子さん演じる司令の櫻井里美が、ハヤトに次々と的確な指示を出して鋭く質問を投げかけ、ハヤトが映像の解析結果などをもとにズバズバと答えていく場面です。規模はまったく違いますが、私がAqua Voiceを使って音声でClaude Codeに指示を出し、Claude Codeが資料を集めたりファイルを整理したりしてくれる様子は、あの場面に少し似ているところがあると感じています。ドラマをご覧になった先生であれば、何となく想像していただけるのではないでしょうか。人間が指示を出してAIが必要な作業を進めていくという光景が、今では自分のパソコン上でも実現できるようになってきました。

マニュアルを読むのではなく、Claude Codeに質問する

さて、ここまでで必要な資料を一つのプロジェクトに集めることができました。しかし、本当に重要なのはここからです。単に資料を集めて保存しておくだけであれば、従来でもそれほど難しいことではありません。問題は、その資料を実際にどのように活用していくかという点にあります。例えば、システムを初めて導入するときの手順を確認したい場合や、すでに使っているシステムでわからない操作が出てきた場合、あるいは、そもそも自分がやりたいことがそのシステムで実現できるのかを調べたい場合などです。

こうしたときに、Claude Codeに対して「このプロジェクト内のマニュアルを参照して回答してほしい」と指示します。すると、保存してある資料の中から関連する部分を探し出し、その内容をもとに回答してくれます。マニュアルに記載されていない内容まで確認したい場合には、「必要に応じてインターネット上の情報も調べてほしい」と追加で指示することもできます。つまり、手元の公式マニュアルを基本としながら、必要な場合には外部の情報も組み合わせて調べられるわけです。

特に便利だと感じるのが、初回導入時の手順を整理してもらう使い方です。システムによっては、マニュアルに記載されている説明が複雑だったり、一部の手順が省略されていたりして、実際に操作すると途中で詰まってしまうことがあります。そうした場合でも、「このマニュアルをもとに、初回導入の手順を初心者にもわかるように詳しく説明してほしい。必要であれば図解も入れてほしい」と指示すれば、自分が理解しやすい形に整理した手順書を作成してもらえます。最初から分厚い説明書を順番に読むのではなく、自分が実際に行う作業に必要な情報だけを取り出してもらうことができるのです。

Claude Codeが作成した手順書も、最初から完璧ではありません。説明が足りない部分や、実際の操作画面と少し異なる部分が出てくることもあります。しかし、その場合には「この部分がわかりにくいので、もう少し詳しく説明してほしい」「この手順の間に必要な操作が抜けているので、追加してほしい」といった形で、何度でも修正を依頼できます。マニュアルの何ページに書かれている内容なのかを指定して、そこだけ詳しく解説してもらうことも可能です。

このように、最初に作成した手順書を実際に使いながら、わからない部分をその都度修正していけば、自分の環境に合った、使いやすいマニュアルに仕上げていくことができます。従来のように、わからない部分が出てくるたびに何百ページもある資料を探し直す必要がなくなるという点は、大きなメリットです。

普通のチャット型AIではなく、なぜClaude Codeを使うのか

ここまで読むと、「わざわざClaude Codeを使わなくても、普通のChatGPTやClaudeにPDFを読み込ませればよいのではないか」と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。実際、その考え方は間違っていません。例えば、2〜3ページ程度の短いPDFファイルであれば、通常の対話型AIにアップロードして、その内容について質問するだけでも十分に対応できます。むしろ、その程度の資料であれば、わざわざプロジェクトを作成してディレクトリを整理する方が大げさになってしまうかもしれません。

一方で、何百ページにも及ぶマニュアルや、複数のPDFファイルに分かれている資料を扱う場合には、私はClaude Codeのようなエージェント型AIの方が使いやすいと感じています。資料の量が増えると、必要な情報を探し出すだけでも大変になりますし、ファイルの整理や追加、内容の更新といった作業も必要になってきます。Claude Codeであれば、資料をディレクトリ単位で管理しながら、必要なファイルを探して参照したり、新たな資料を追加したりする作業をまとめて進めることができます。資料を継続的に管理していくという意味でも、こちらの方が私には合っています。

さらに、Claude Codeの便利な点として、質問した内容を後から整理して記録に残せるということがあります。例えば、一つのシステムについて何度も質問していると、自分がどのような部分でつまずいたのか、どの機能について詳しく調べたのかという情報が蓄積されていきます。ある程度質問がたまったところで、「これまで質問した内容を整理して、わからなかった項目や重要なポイントを一覧にまとめてほしい」と指示すれば、会話の内容をもとに新しいファイルを作成してもらえます。さらに、そのファイルをプロジェクト内に保存しておけば、次回からも参照できるようになります。

これは意外と便利な使い方です。単にその場で質問して回答を得るだけではなく、自分が苦手だった分野や、一度調べた内容を自分専用の資料として蓄積していけるからです。例えば、eLTAXについて何度も質問した内容を一つのファイルに整理しておけば、次に同じ手続きを行うときには、最初から調べ直す必要がなくなります。チャット型AIでも似たようなことはできますが、ファイルの作成や保存、整理まで一連の作業として進められる点で、エージェント型AIの方がもう一段スムーズだと感じています。

もっとも、すべての作業をClaude Codeだけで完結させる必要はありません。最近ではChatGPTのファイル作成機能も大きく進化しており、特に新しく登場したChatGPT Workでは、文書の作成やデザイン面の調整もかなり高度に行えるようになってきました。例えば、Claude Codeで必要な情報を整理したファイルを作成し、それをChatGPTに渡して「この内容をもとに、見やすくデザイン性の高いPDF資料を作ってほしい」と依頼する使い方も考えられます。私自身、こうした機能の進化にはかなり驚いています。以前であれば、デザイン会社の方が時間をかけて作成したのではないかと思うような資料が、短時間で作れるようになってきました。

このように、資料の収集や整理、日常的な質問への対応にはClaude Codeを使い、完成した資料を人に見せるために整える段階ではChatGPTを利用するなど、目的によって使い分ける方法もあります。

実際の操作で詰まっても、その場で質問できる

もう一つ、Claude Codeを利用していて特に便利だと感じるのが、実際の操作中にわからないことが出てきても、その場ですぐに質問できるという点です。パソコンを使った作業で個人的に最も困るのは、途中で操作がわからなくなり、そこで作業が止まってしまうことです。マニュアルを見ながら進めているのに、途中から説明どおりに操作できなくなってしまうという経験は、先生方にもあるのではないでしょうか。

特によくあるのが、マニュアルに掲載されている画面と、実際に表示されている画面が異なっているケースです。例えば、説明書には「このボタンを押してください」と書かれているのに、そのボタンが見当たらないということがあります。システムのアップデートによって画面のデザインが変更されていたり、メニューの位置が変わっていたりするわけです。こうした場合、従来であればインターネットで検索したり、別の説明書を探したりして、何とか解決方法を見つけるしかありませんでした。

しかし、Claude Codeであれば、その時点の画面をスクリーンショットで保存し、その画像を読み込ませて質問することができます。「マニュアルにはこのボタンを押すと書かれていますが、現在の画面では見当たりません。どこを操作すればよいでしょうか」といった形で質問すると、画面の内容を解析し、考えられる操作方法を提示してくれます。単純な画面変更やメニューの位置の違いで作業が止まってしまうことは、ほとんどなくなりました。

スクリーンショットの渡し方についても、いろいろな方法がありますが、私が簡単だと思うのは、デスクトップやダウンロードフォルダなどに画像を保存し、そのファイルのパスをClaude Codeに渡す方法です。Claude Codeが参照できる場所に保存されていれば、指定した画像を読み込んで内容を確認してもらうことができます。これだけでも、わざわざ画面の状態を文章で細かく説明する必要がなくなるので、かなり便利です。

また、Chromeとの連携などを利用できる環境であれば、ブラウザ上の操作をAIに確認してもらいながら進めることも可能です。こうした使い方は、実際に何度か試しているうちに、自分にとって最も楽な方法が見えてくると思います。技術的に難しい問題であれば解決までに時間がかかることもありますが、少なくとも「説明書の画面と少し違うから先に進めない」というような小さな問題については、以前よりもはるかに対処しやすくなっています。

応用編――マニュアルの更新や変更点の確認にも使える

少し応用的な使い方になりますが、マニュアルが改訂されたときに、新旧の資料を比較して変更点を確認するという方法もあります。これは、Claude Codeの使い方にある程度慣れてから試してみるとよいでしょう。AIは複数の文書を比較して、異なる部分を抽出したり、一覧表にまとめたりする作業にも向いているためです。

例えば、オンライン請求システムやオンライン資格確認のマニュアルが改訂された場合、以前のマニュアルと最新版を比較して、「何が変更されたのか」「自院で新たに対応する必要があることは何か」といった内容をまとめてもらうことができます。公式資料の中に変更点の一覧が用意されていることも多いのですが、それを自分の環境に合わせて整理してもらえる点が便利です。最新版の資料を取り込んで、「以前のマニュアルと比較し、変更された部分だけをA4用紙1枚程度にまとめてほしい」と指示すれば、必要な情報を短時間で把握しやすくなります。

こうした作業を人間が行おうとすると、旧版と新版を並べながら一つずつ確認する必要があり、相当な時間がかかることがあります。Claude Codeを利用すれば、まずAIに差分を抽出してもらい、重要な変更点についてだけ原文を確認するという進め方ができます。特に、定期的にマニュアルが更新されるシステムでは、役立つ方法ではないでしょうか。最初からこうした使い方をする必要はありませんが、基本的な操作に慣れてきたら、次のステップとして試してみる価値はあると思います。

開業医の実務でも使いどころは多い

では、実際に開業医の業務の中で、どのような場面に活用できるのでしょうか。これは本当に多岐にわたります。例えば、確定申告を自分で行っている先生であれば、e-Taxのマニュアルを読み込ませて、必要な操作方法を確認することができます。地方税に関する手続きであれば、eLTAXについても同様の使い方ができます。年に数回しか使わないシステムの場合、以前覚えた操作方法を忘れてしまうこともありますが、そのたびにマニュアルを読み直す必要がなくなるわけです。

新しくソフトウェアやシステムを導入した場合にも、この方法はとても役立ちます。例えば、電子カルテであれば、デジカルのようなシステムのマニュアルを読み込ませて、操作方法を確認することができます。特に、電子カルテを新しく導入したり、別の電子カルテへ入れ替えたりするときには、操作方法の違いに戸惑うことも多いと思います。そうした場合でも、わからない操作だけをClaude Codeに質問し、その都度確認しながら進めていけば、従来よりも効率よく新しいシステムに慣れていくことができるのではないでしょうか。

また、最近ではオンライン請求システムの変更に関する案内なども届いていますが、こうした場合にも活用できます。新しいマニュアルをプロジェクトに取り込み、「今回はどのような変更があるのか」「自分の環境では何をすればよいのか」「具体的な移行手順を順番に示してほしい」と質問すれば、必要な作業を整理してもらえます。途中でわからないところが出てきた場合にも、その場で質問して確認することができます。もちろん、実際の操作や設定変更については公式資料との照合が必要ですが、最初から膨大なマニュアルをすべて読み込むことを考えれば、作業の負担はかなり軽くなります。

AIも間違える――マニュアルを読み込ませても万能ではない

ここまで便利な点についてご紹介してきましたが、当然ながらClaude Codeも万能というわけではありません。公式マニュアルを読み込ませて、その内容をもとに回答するように指示していても、間違った内容を提示することはあります。この点については、やはりAIの回答を100%正しいものとして扱わないことが重要です。ただ、何の資料も与えずに一般的な知識だけで回答してもらう場合と比較すれば、公式マニュアルを参照してもらうことで、より根拠のある回答を得やすくなると考えています。

また、実際の操作がうまくいかない場合、そもそも参照しているマニュアルが最新版ではないということもあります。特に、システムの画面が更新されている場合には、マニュアルどおりに進めようとしても、うまく操作できないことがあります。こうしたときには、「マニュアルが古い可能性もあるので、インターネット上の最新情報を調べて対処方法を考えてほしい」と指示すれば、別の解決方法を提示してもらえることがあります。必要に応じて公式サイトの更新情報も確認するなど、複数の情報源を組み合わせることが大切です。

もう一つ、Claude Codeを長時間利用していると、ときどきAIが疲れてしまったように感じることがあります。これは実際にAIが疲労しているわけではなく、会話が長くなりすぎることで、参照する文脈が膨大になっていることなどが関係しています。何度も質問を繰り返し、長い時間同じセッションを使っていると、回答までに時間がかかったり、以前の指示がうまく反映されなくなったりすることがあります。

こうした場合には、会話の内容をコンパクトにまとめる方法があります。Claude Codeには「/compact」というコマンドがあり、これまでの会話内容を要約して、扱う文脈の量を減らすことができます。また、一度重要な内容をファイルに保存してからセッションを終了し、改めて再開するという方法もあります。私自身、長く使っていて少し調子が悪くなったと感じたときに、こうした方法を試すことで改善する経験があります。Claude Codeの解説書などでも比較的最初の方に紹介される基本的なテクニックですが、覚えておくと便利です。

なお、医療機関でこうしたツールを利用する場合には、情報の取り扱いにも注意が必要です。特に、電子カルテの情報や患者さんの個人情報、ログイン情報、電子証明書などを不用意にAIへ渡さないようにする必要があります。また、行政手続きやシステムの重要な設定変更については、最終的に公式資料や実際の操作画面を確認しながら進めることが大切です。便利なツールであるからこそ、任せてよい部分と自分で確認すべき部分を区別する必要があります。

ビジネスの世界では、すでに活用が進んでいるようだ

ビジネスの世界では、こうした使い方はすでに広がっているようです。勤務医の場合、マニュアルを一か所に集めて、そこから必要な情報を次々と取り出しながら仕事を進めるという場面は、それほど多くないかもしれません。しかし、開業医になると、自分で調べて対応しなければならない手続きやシステムが一気に増えてきます。そう考えると、一般的なビジネスの現場で使われている方法が、開業医の業務にも応用できるというのは、興味深いところです。

例えば、商社や広告代理店など、短期間で新しい知識を習得し、それをすぐに実務へ応用しなければならない業種があります。一つの案件のために必要な知識やシステムの操作方法を覚え、実際の仕事で使い、案件が終わればまた別の分野について勉強するということを繰り返している方も少なくないと思います。こうした仕事では、新しいことを覚えるための時間そのものが、大きな負担になります。以前に似たような仕事を経験していれば、その知識を応用できるかもしれませんが、まったく異なる分野であれば、また最初から覚え直さなければなりません。

ところが、今回ご紹介した方法を使えば、必要な資料を短時間で集め、わからないことを質問しながら、すぐに実践へ移ることができます。新しい分野に入っていく際の最初のハードルは、かなり低くなります。このような業務が多い方にとっては、重宝する使い方です。

医学分野でも、同じ考え方が使われ始めている

こうした大量の資料を生成AIに読み込ませ、必要な情報を取り出すという仕組みを、医学分野に応用しようとする動きもあるようです。一般的な生成AIも、もともと膨大な情報を学習したうえで回答を生成していますが、医学分野では、信頼性の高い診療ガイドラインや医学文献などに参照する情報を限定することで、より正確な回答を得ようとする取り組みが進められています。例えば、信頼性の高い医学資料を大量に蓄積し、その内容を参照しながら医学的な質問に回答する仕組みを構築すれば、一般的な生成AIに質問する場合と比較して、根拠の乏しい回答や的外れな回答を減らせる可能性があります。

考えてみると、医学という分野は膨大な知識体系によって成り立っています。私たち医師も、そのすべてを記憶しているわけではなく、必要に応じてガイドラインや医学書、論文などを確認しながら診療を行っています。今後、こうした医学的な知識を生成AIが参照できる形で体系的に整理し、必要な情報を必要なときに引き出せるようになれば、医学情報の調べ方そのものが大きく変わっていくのかもしれません。もちろん、医学的な判断に利用する以上、回答の正確性や情報の更新状況、参照した文献の信頼性など、十分に検証しなければならない課題は残ります。それでも、膨大な医学知識の中から、今まさに必要としている情報を短時間で取り出せるようになるというのは、大きな可能性を秘めているのではないかと思います。

AIを使う人と使わない人の格差は、これから大きくなるのかもしれない

一方で、こうした使い方が一般的になっていくことには、少し難しい問題もあると感じています。それは、AIを使う人と使わない人の間で、仕事の効率やパフォーマンスに大きな差が生まれてしまうのではないかということです。今のところ、Claude Codeのようなツールを積極的に使っているのは、比較的新しい技術に関心のある方が中心だと思います。しかし、今後こうした利用方法が当たり前になってくると、AIを使っていることを前提に仕事が進んでいくようになるかもしれません。

そうなると、同じ作業をする場合でも、AIを利用している人は短時間で資料を集め、必要な手順を整理して実行できる一方、利用していない人は従来どおりマニュアルを読みながら作業を進めることになります。同じ仕事でも、そこにかかる時間や労力は大きく変わってきます。今はまだ、AIを使いこなしている人が先進的だと評価される段階かもしれませんが、いずれは使うこと自体が標準になり、使っていない人の方が遅れていると見られる時代になるのではないかと考えています。

これは、スマートフォンが普及していった過程にも少し似ているように感じます。スマートフォンが登場した当初は、まだ使っている人の方が少なく、必ずしも必要なものではありませんでした。しかし、今では多くの人が当たり前のように利用しており、スマートフォンがあることを前提としたサービスも珍しくありません。生成AIについても、ゆくゆくは同じような状況になっていくのかもしれません。そう考えると、便利になる一方で、使う人と使わない人の差が広がっていくことには、少し懸念も感じています。

まずは身近なマニュアルから試してみる

今回ご紹介した方法は、特別に難しいプログラミングを行うものではありません。基本的には、必要なマニュアルを一か所に集め、Claude Codeにその内容を参照してもらいながら、質問や作業の指示を出していくだけです。最初にClaude Codeを利用できる環境を整える必要はありますが、一度使えるようになってしまえば、その後はさまざまな業務に応用することができます。また、質問した内容を記録として残したり、マニュアルの更新に対応したりすることで、単にその場で疑問を解決するだけではない、継続的な活用も可能になります。

開業医は、診療以外にも、制度への対応や書類の提出、システムの設定変更など、多くの細かな業務を抱えています。しかも、その一つひとつについて専門的に勉強する時間が十分にあるわけではありません。だからこそ、必要なときに必要な情報を取り出し、すぐに実務へ活用できるという方法には、大きな価値があります。

何か新しいシステムを導入するときや、分厚いマニュアルを読む必要が出てきたときには、まずClaude Codeに資料をまとめて読み込ませてみるという方法を、選択肢の一つとして考えてみてもよいのではないでしょうか。短い資料であれば通常のチャット型AIを利用し、大量の資料を継続的に扱う場合にはClaude Codeを使うなど、目的に応じて使い分けてもよいと思います。私自身、こうした使い方をするようになってから、これまで面倒に感じていたマニュアルを読み込む作業が、ずいぶん楽になったと感じています。

About the author この記事を書いた人:内科診療所の院長

IT企業でもコンサル会社でもなく、診療をしている開業医が、コードの作成から運用まで一人で行っています。取り上げるのは、実際に試して運用しているものだけです。

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