メールの文面をなげる

PUBLISHED 業務改善 #プロンプト #文章作成

業者や取引先へのビジネスメールは、受信したメールを貼り付けて要点を箇条書きで伝えるだけで、生成AIが返信文を作ってくれます。個人情報の扱いにも触れながら、生成AIを使い始めるのにちょうどよい活用例として紹介します。

業者様や取引先など、ビジネス的なメールを作成する機会は、先生にもあると思います。ビジネスメールはある程度形式が決まっており、定型的な挨拶やテンプレートが存在するため、一見すると効率化しやすい領域ではありますが、実際にはやや手間に感じる場面も多いのではないでしょうか。実際、多くの先生方はテンプレートを用意し、宛先や一部の文面だけを差し替えて対応されているかと思います。

ただ、それでも内容を微調整して整えようとすると、気がつけば5分程度かかってしまうケースも少なくありません。このような作業は一つ一つは単純ですが、繰り返し発生するため負担になりやすい領域です。そして、こうした「定型的だが少しだけ調整が必要な文章作成」は、生成AIが最も得意とする分野の一つです。実際に使ってみると非常に手軽で、想像以上にストレスなく処理できるため、生成AIの利便性を最も身近に実感しやすい活用例の一つではないかと考えています。

メールをコピペ+内容を箇条書き

受信したメールをそのままコピーして生成AIに貼り付け、あわせて「この点について対応してほしい」「この内容で〇日までにご報告をお願いしたい」といった要点を箇条書きで指示すると、返信文をほぼ瞬時に作成してくれます。生成された内容については、まず意図がずれていないかを確認します。問題なければそのまま採用できますし、ずれがある場合でも「この部分だけ修正してほしい」「もう少し丁寧な表現にしてほしい」「ややラフなトーンに調整してほしい」といった形で指示すれば、短時間で自然な文章に整えることが可能です。

作業時間の短縮としては数分程度かもしれませんが、実際にはそれ以上に「考える手間」が減る点が大きいと感じます。メール返信のたびにゼロから文章を組み立てる必要がなくなるため、日々の業務負担は確実に軽減されます。ポイントは、文章作成に使っていた思考リソースを生成AIに委ねることで、医療判断や経営判断といった、より重要な業務に集中できるようになる点です。限られた時間とエネルギーをどこに使うかという観点でも、この使い方は非常に有効ではないかと考えています。

個人情報の問題

メールについては、個人情報の扱いを気にされる先生も多いと思います。特に診療内容に関わるようなセンシティブな情報については、生成AIにそのまま入力することに抵抗を感じるのは自然なことだと思います。一方で、一般的なビジネスメールレベルの内容であれば、私はそこまで過剰に神経質にならなくてもよい場面も多いのではないかと考えています。例えば、取引先とのやり取りや、定型的な問い合わせ、日程調整といった内容であれば、十分活用できる余地はあると思います。ただし、先生ご自身が院長であり、経営上の最終決定権を持っている場合と、勤務医などで組織の一員として働いている場合では、少し事情が変わってきます。もし最終責任者ではない場合には、院内ルールや他の管理者との相談が必要になるケースもあると思います。

その点、開業医の場合は、先生ご自身が最終決定者であることが多いため、「どこまで許容するか」を自分で判断できるという利点があります。例えば安全性を担保する場合は、会社名や担当者名を削ったうえで、「この内容でメール文面を整えてください」と依頼するのであれば、実務上はまず問題にならないと考えられます。

このような僅かなコストや時間、リソースの削減が生成AIによって生み出せる

生成AIというと、かなり大きな変化や劇的な効率化ばかりが注目されがちです。実際、世の中でも「仕事が全部変わる」といったような大きな話題を見聞きすることは多いと思います。ただ、実際の診療所運営や日常業務の中で使ってみると、むしろ重要なのは「小さな改善」の積み重ねではないかと私は感じています。例えば今回のように、ビジネスメールの返信文を作成することや、紹介状の下書きを作る等です。こうした作業自体は、一つひとつを見ると決して大きな仕事ではありません。しかし、その「少し考える」「少し文章を整える」「少し手を動かす」という小さな負担を、生成AIによって軽減できるようになると、それが積み重なって意外と大きな差になってきます。特に開業医の場合、単純な作業時間だけでなく、「考える力」そのものも非常に貴重なリソースです。細かい事務作業や文章作成に思考力を消耗しすぎないことで、本来集中すべき診療や経営判断にエネルギーを残せるというのは、かなり大きな意味があると思います。

また、このような小さな効率化は、単なる時短だけにとどまりません。積み重なれば、スタッフ業務の負担軽減や外注コスト削減につながるケースもあり、結果として実際のお金のコストカットに寄与する可能性も十分あるのではないかと思います。いわゆる「革命的な使い方」だけではなく、こうした日常業務の細かな摩擦を減らしていくことこそ、現実的な生成AI活用の大きな価値の一つなのではないでしょうか。

生成AI導入として最適

ですので、このような小さなことからでも、まずは少しずつ取り入れてみることが大切なのではないかと思います。こうした業務改善は、一つひとつは小さく見えても、決して馬鹿にできない効果があります。特に、メール作成や文章の補助というのは、生成AI活用の中でもかなり始めやすい部類です。複雑な設定や専門知識もほとんど必要ありませんし、日常業務の中ですぐに使えるため、「生成AIをまだほとんど使ったことがない」という先生にとっても、最初の一歩として非常に取り組みやすいと思います。

また、この分野は効果をコスパよく実感しやすいというのも大きいと思います。実際に使ってみると、「文章を考える負担が減った」「返信が早くなった」「ちょっと気が楽になった」といった変化を比較的すぐに感じやすいため、生成AIそのものへの抵抗感も減っていきやすい印象があります。そして、こうした簡単な活用から生成AIに慣れていくことで、もし興味が広がれば、今度はプログラミングや、より高度な業務改善にも自然につながっていく可能性があります。実際、私自身も最初から複雑なことをやっていたわけではなく、小さな業務効率化の積み重ねから少しずつ発展していった部分が大きいです。

その意味でも、メール作成や文章補助というのは、クリニック・診療所における生成AI活用の入り口として、非常に相性が良いのではないかと思い、今回ご紹介させていただきました。

About the author この記事を書いた人:内科診療所の院長

IT企業でもコンサル会社でもなく、診療をしている開業医が、コードの作成から運用まで一人で行っています。取り上げるのは、実際に試して運用しているものだけです。

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