生成AIの登場で、音声入力の精度は大きく上がりました。話した内容を生成AIに整えてもらえば、入力の手間を減らしながら文章の質も上げられます。一度音声入力をあきらめた先生にこそ試してほしい方法です。
今回は文章作成に関わる話ですが、今後は「文章を打つ」というより、音声入力がメインになっていく時代であると思っています。音声で言いたいことをバーッととりあえず話してしまい、その文面を生成AIに整えてもらう形にすると、入力の時間をかなり短縮できます。さらに、単純に早くなるだけではなく、今まで以上にアウトプットの質も上げやすくなります。
これまでは、時間的な制約もあって、「書きたいことはあるけれど、なかなか手が回らない」という場面も多かったと思います。しかし、まずは音声で話し、それを生成AIで文章として補正・校正してもらう流れにすると、かなり楽になります。
つまり、労力を減らしながら、アウトプットの質も上げられるという、かなり“いいとこ取り”ができるわけです。特に、日々忙しい開業医の先生方にとっては、非常に相性の良い活用法なのではないかなと思っています。
音声入力がかなり改善してきている
音声入力自体は、10年以上前から存在していました。ただ、以前の音声入力は正直かなり精度が低く、「実用的とは言い難い」と感じていた先生も多いのではないかと思います。実際、数年前までの音声入力は誤変換も多く、ストレスの方が大きかった印象があります。しかし、生成AIが台頭してきてから、音声入力の質はかなり改善してきています。もちろん、まだまだ完璧ではありません。特に医学用語については誤変換もありますし、細かい修正が必要な場面もあります。ただ、それを差し引いても、以前と比べればかなり実用的なレベルになってきていると感じます。
私は現在、Aqua Voice という有料サービスを使っていますが、Apple純正の音声入力もかなり良くなっていると思います。無料でも十分使えるものが増えてきていますし、さらに言えば、Pythonを使って自分で音声入力環境を作ることも可能な時代になっています。
また、音声入力を支えるハードウェア環境もかなり整ってきています。以前は「マイク性能が悪くて使い物にならない」ということも多かったのですが、現在は1万円前後でもかなり品質の良いマイクが手に入るようになっています。つまり、ソフトウェア側だけではなく、ハードウェア側も含めて、音声入力を活用しやすい環境が整ってきているわけです。全体として、今はかなり追い風の状況であると思います。
音声入力→生成AIの組み合わせが非常に強い
音声入力だけでもかなり便利ではあるのですが、やはりそれだけだと、文章として少し整い切っていなかったり、誤変換が残っていたりすることがあります。そこで非常に相性が良いのが、「音声入力 → 生成AIで校正」という流れです。実際、音声入力した内容をそのまま ChatGPT に貼り付けて整えてもらうだけで、文章の質はかなり良くなります。
もちろん、日常診療の中で本当に数行程度で済む内容であれば、直接打ってしまった方が早い場面もあります。しかしながら、患者さんへの説明内容を少し詳しくカルテに残したいときなどは、30秒ほど音声入力でバーッと話してしまい、それをChatGPTに投げて整えてもらった方が、明らかに早く、労力も少なく済みます。さらに、自分で打っていると、どうしても「面倒だから少し削ろう」となりがちなニュアンスや説明も、音声であれば比較的自然に残しやすくなります。結果として、カルテのアウトプットの質自体もかなり良くなっていると感じています。単純な時短だけではなく、「記録の質を上げながら負担を減らせる」という点が、非常に大きいのではないかなと思います。
当然この記事もその方法で書いている
もちろん、この記事自体もその方法で書いています。私が話したい内容を音声で喋り、それを生成AIに段落ごとに整理・校正してもらう形で記事にしています。
ただ、実際に使っていて感じる注意点もあります。たとえば、非常に長い文章を一気に生成AIへ貼り付けると、内容が少し削られてしまったり、意図とは微妙に違う解釈でまとめられてしまったりすることがあります。そのため、私は現在、1見出し・1パラグラフごとに区切って生成AIへ貼り付け、それぞれを細かく調整する形で運用しています。このやり方の方が、自分の意図やニュアンスをかなり維持しやすいと感じています。
ただ、これもおそらく時間の問題だと思っています。今後さらにLLMの性能が向上していけば、長文をそのまま貼り付けても、かなり意図通りに補正してくれる時代になっていくのではないかなと思います。
一度音声入力を諦めた先生ほど試してほしい
先生方の中には、音声入力の黎明期に一度試して、「これは使えないな」と感じて、そのままやめてしまった方もいらっしゃると思います。その経験があると、「どうせ今も同じだろう」と感じるのも自然だと思います。ただ、現在の音声入力は、当時とは本当に比べ物にならないくらい性能が向上しています。さらに今は、単なる音声入力だけではなく、「生成AIで文章を整える」という工程が加わっています。つまり、「音声入力単体では少し荒くても、最後は生成AIが整えてくれる」という前提で使えるようになったことで、実用性が大きく変わってきています。
そのため、以前試して「ダメだ」と感じた先生ほど、もう一度チャレンジしてみる価値があるのではないかなと思っています。そして個人的には、今後10年くらいで、診察室の風景そのものもかなり変わっていくのではないかと感じています。
これまでは「キーボードを目の前に置いて診療する」というのが当たり前でした。しかし将来的には、「マイクを置いて診療する」というスタイルの方が、むしろ自然になっていくかもしれません。それくらい、音声入力と生成AIの組み合わせは、今後の診療スタイルを大きく変えていく可能性があると感じています。