一般名処方加算を見やすくするツールの作成

PUBLISHED 開発 #Claude Code #レセプト

一般名処方加算の対象薬剤を一覧で確認しやすくするツールを、VS CodeとClaude Codeで作りました。令和8年4月改定の一般名処方マスタをもとに、ツールの中身だけでなく作り方の手順もあわせて紹介します。

以前、本家サイトの方で一般名処方加算について取り上げた際に、対象薬剤の一覧が少し見づらいという点にも触れました。そこで今回、一般名処方加算の対象を一覧で見やすく確認できるツールを作成してみました。あわせて、単にツールを紹介するだけではなく、「どのように作ったのか」という過程も公開してみようと思います。作り方まで含めて共有することで、先生方ご自身の実務に合わせてアレンジしやすくなるのではないかと考えました。ひとつの具体例として見ていただければと思います。

今回のツールは、VS Code に Claude Code を組み込むことで、比較的手軽に作成できます。生成AIというと少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、このように日常業務の中で実際に役立つ形に落とし込んでいくと、かなり身近なものとして活用しやすくなります。生成AIを実務に取り入れるきっかけのひとつとして、参考にしていただければと思います。

一般名処方加算について

以前、一般名処方加算については別のサイトでもご紹介しましたが、今回はあらためて整理してみました。厚生労働省のホームページでは、一般名処方に関するCSVマスターが公開されており、内容は比較的頻繁に更新されています。ツールは令和8年6月12日適用のマスタをもとにしています(2026年10月に作り直しました)。実務の参考にしていただければと思います。
(参考リンク:
処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について)

以前の記事もあわせてご覧いただくと理解しやすいと思いますが、一般名処方加算は「一般名で記載すればすべて算定できる」というものではなく、あらかじめ対象となる薬剤が決められています。この点は実務上、誤解されやすいポイントかと思います。

また、厚生労働省の該当ページは、初めて見るとやや分かりづらい構成になっています。特に注意が必要なのは、情報の新しさです。Google検索で上位に表示されるページでも、実際には古い改定の内容であることがあります。そのため、まず最新のページにたどり着くこと、そしてページ内のリスト(左下に掲載されている一覧)から正確に情報を取得することが重要になります。しかも実際に公開されているCSVやPDFは視認性があまり良くなく、診療の合間などに素早く確認したい場面では使い勝手がよいとは言えません。そこで今回、自分なりに整理し直した内容をまとめていますので、日常診療の中での確認用として活用していただければと思います。

一般名処方加算一覧ページ

まず今回、試験的にではありますが、記事を書くにあたって、自分自身も日常的に使用しているツールを作成してみましたので、そちらをご紹介します。

Tool

一般名処方加算 算定可能リスト

検索・絞り込みができる一覧のページです。

ツールを開く →

加算の対象になっている全品目を一覧にしています。ページの上のボタンで、内科・皮膚科でよく使う薬に絞り込めます。

プログラミングやツール作成にあまり関心がない先生は、ひとまずこちらのツールだけを使っていただいても問題ありません。実務上、一覧で確認できるだけでもかなり使いやすくなると思います。

ただし一点ご注意いただきたいのですが、このツールは私がすべて目視で検証したものではありません。2026年10月に、厚生労働省の一般名処方マスタと薬価基準収載品目リストから自動で組み立てる形に作り直し、先発品の名前は薬価リストから、ステロイド外用薬のランクはアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024から引くようにしました。それでも、内科・皮膚科の絞り込みに入れる薬は私が選んだもので、誤りや漏れが残っている可能性があります。気づいた点は適宜修正していきます。

したがって、重要な判断や正確性が求められる場面では、必ず厚生労働省の原本データを参照していただくようお願いいたします。この点をご理解いただいたうえであれば、日常診療の補助ツールとして自由にご活用いただいて問題ありません

ツールの作成の概要

こちらのツールは、当然ながら私がCSVの情報を一つひとつ拾って手入力して作成したものではなく、すべて生成AIを組み合わせて作成しています。今回は ChatGPT と Claude Code を使用することで、一気にツールとして形にしました。実際に手を動かした時間としては、生成AIが考える時間と、微調整含めて、40分程度で作成できたと思います。まだ正直詰めきれていない面もありますが、診療中にさっと一般名処方加算の対象かどうかをチェックするのが目的なので、検索性と視認性を重視しております。(最初の版は商品名や合剤の部分に粗さがあったため、2026年10月に一次情報から作り直しました。)

今回の記事の主な目的は、このツールそのものの紹介というよりも、「このようなファイルをどのように作るのか」という作成の流れをご紹介することにあります。先生ご自身で作れるようになると、実務に合わせて自由にアレンジすることができますので、その一つの参考として見ていただければと思います。

具体的な手法

今回は、Claude Code という生成AIを使用します。生成AIの基本的な理解については別の記事でも触れていますので、ここでは簡単に整理します。生成AIは大きく分けて、ChatGPTのような対話型AIと、Claude Codeのように実際にファイルを操作できるエージェント型AIに分かれます。エージェント型AIは、単に文章を生成するだけでなく、コードを書いたり、ファイルを直接編集したりできる点が特徴になります。

Claude Codeにはさまざまな使い方がありますが、一般的によく紹介されているのはCLI(コマンドライン)を用いた方法です。ただ、この方法はややハードルが高く感じられる先生も多いと思います。そのため今回は、VS Codeに組み込んで使用する方法を前提に進めていきます。この方法であれば比較的導入しやすく、ファイルの編集内容も視覚的に確認できるため、実務的にも扱いやすいと思います。

なお、VS CodeのインストールやClaude Codeの初期設定については、本記事では割愛します。導入手順としては、以下の動画が非常に分かりやすくまとまっており、私自身も参考にしていますので、こちらをご覧いただくのがよいと思います。周辺知識も含めて整理されているため、初めての方にも理解しやすい内容です。

(参考→【Claude Code超入門】超基本的なことをたった30分で学べます|使い方からおすすめ設定、仕事の自動化まで全手順を解説)

具体的なファイルの作り方

あるプロジェクトファイルを作成し、その中に今回原本となる厚生労働省からのCSVのデータを入れます。これがまず第一段階です。

私は今回 medical-billing という名前のフォルダを作成し、そこに必要なファイルを入れています。そこに厚生省からダウンロードしたcsvファイルを入れます。参考までに画像もお示しします。

そしてこのファイルを上記のように、VS Codeから開きます。参考までに画像もお示しします。


これにより、今回のProjectを行う環境が整いました。

CLAUDE.md の準備

上記の動画でも解説されていますが、Claude Codeでは CLAUDE.md というファイルを用いて、あらかじめ前提条件や指示をまとめておくことができます。これは必須ではありませんが、設定しておくことでアウトプットの質は明らかに向上します。具体的には、「どのような方針でコードを書くか」「どのような形式で出力するか」といったルールを事前に定義しておくことで、毎回細かく指示を出さなくても、一定の品質で結果を得ることができるようになります。今回は参考までに、実際に私が使用したプロンプト内容も掲載しておきます。これをそのまま使っていただいても構いませんし、ご自身の用途に合わせて調整していただくのもよいかと思います。

# CLAUDE.md — このプロジェクトの行動指針

## プロジェクトの目的

診療報酬改定に関するマスタファイル・通知資料を管理・分析し、日常診療の意思決定を支援する。

## 必ず守ること

### 1. 情報の正確性を最優先にする

- 診療報酬に関する情報は医療行為・保険請求に直結するため、**不正確な情報は実害をもたらす**。

- 確認できないこと、根拠のないことは**「分かりません」と明示する**。曖昧な推測や憶測を回答してはならない。

- 「おそらく」「たぶん」で医療・保険情報を答えない。

### 2. 常に最新ファイルを真の情報源とする

- このリポジトリのファイルは**頻繁に更新される**。

- 何らかの分析・回答を行う前に、**必ずリポジトリ内の最新ファイルを読み込む**こと。

- ファイルに記載された適用日・更新日を確認し、**最も新しいファイルの内容を正とする**。

- 過去の会話や以前読み込んだファイルの内容をそのまま使い回してはならない。古い情報は誤答の原因になる。

### 3. 古い情報を引きずらない

- 旧版のマスタや通知内容は**改定後は原則として無効**である。

- 古いファイルの内容と新しいファイルの内容が矛盾する場合は、**新しいファイルを優先する**。

- 「以前はこうだった」という説明が必要な場合は、それが旧情報であることを明示する。


## ファイルの扱い方

- ファイル名に含まれる日付(例: `260401` = 令和8年4月1日)を適用日として解釈する。

- 複数の同種ファイルが存在する場合は、**日付が最も新しいものを使用する**。

- ファイルを参照した場合は、**ファイル名と適用日を回答に明示する**(どの情報を根拠にしたか追跡できるようにする)。

## してはいけないこと

- ファイルを読まずに記憶や推測で診療報酬の内容を答える

- 「加算対象である」「薬価はXXX円である」などを根拠なく断言する

- 削除・廃止された品目を有効な品目として案内する

- 古いバージョンのマスタの内容を最新情報として扱う


なお、今回、Claude Codeに初めて触れる先生はこちらのセカンドステップでいいと思いますので、まず飛ばして次に進んでください

Claude Codeの最初の一歩

Claude CodeをVS Code上で使用する際の最初のポイントは、「対象となるファイルを明示的に指定すること」です。今回のケースでは、ダウンロードした厚生労働省の原本CSVファイルを指定していきます。

Claude Codeに対してファイルを指定する方法はシンプルで、@ファイル名 という形式を使用します。この記法を使うことで、Claude Codeがそのファイルの内容を参照したうえで処理を行うようになります。

この「ファイルを明示的に指定する」というステップを入れることで、意図しない情報をもとに処理されることを防ぎ、より正確なアウトプットにつながります。最初の基本操作ではありますが、非常に重要なポイントになります。

あとは対話型AIと同じように使える

ここからが一番実用的で、かつ楽しい部分になります。基本的な操作ができれば、あとは対話型AIと同じ感覚でClaude Codeに指示を出していくだけです。例えば、「このファイルを分析して見やすく整理してほしい」「内科でよく使う薬剤をまとめてほしい」「泌尿器科外来で使用する薬を抽出して、一般名処方加算の対象を薬効別に整理してほしい」といった形で、先生ご自身の診療スタイルに合わせて自由に指示を出すことができます。指示した内容に応じて、生成AIが分析を行い、自動的にファイルとしてまとめてくれます。

生成AIへの指示の出し方については、さまざまな解説がありますが、私としては実務の中で慣れていくのが一番早いと感じています。実際に使いながら、自分なりの使い方や指示の出し方を少しずつ固めていくのが現実的です。というのは、生成AIは進化のスピードが非常に速く、使い方自体も日々アップデートされている状況です。そのため、常に最新の方法を完璧に追いかけようとするのは、我々のように本業がエンジニアではない立場では現実的ではないと思います。ある程度割り切って、「自分の業務に役立つ範囲で使う」というスタンスで十分だと考えています。他の生成AIに関する解説サイトなどを見ると、細かなテクニックや工夫も多く紹介されていますので、そういったものを適宜取り入れながら、自分の業務に合った形に調整していくのがよいと思います。最終的には「自分が使いやすい形に仕上げていく」という意識が重要になります。

最初から狙ったファイルはできない

最初に生成されるファイルは、必ずしも完成度が高いとは限りません。実際、最初に出てくるものは「少し使いづらい」「思っていた形と違う」と感じることも多いと思います。ただ、このツールの本質はそこからのブラッシュアップにあります。生成された内容に対して、「もう少し見やすく」「この項目を追加してほしい」「この形式で整理してほしい」といった形で、繰り返し指示を出していくことで、徐々に実務で使いやすい形に仕上がっていきます。そのため、最初のアウトプットが期待通りでなかったとしても、あまり気にする必要はありません。むしろ、そこから調整していく前提で使うのが自然な流れです。私は普段、GoogleChromeで電子カルテを開いているので、電子カルテと同じウィンドウで確認できる方がシームレスで立ち上げの手間もなく便利であると考えて、html形式を指定し、検索可能な形式に整えてみました。(この辺りは最初から理解する必要はないです。徐々に先生に最適な形でできるようになってきます。)

Claude Codeは対話型AIと同じようにやり取りしながら使えるうえに、その内容をもとにファイル自体も自動的に編集してくれます。対話を重ねながら、少しずつ見やすく整形していくという使い方をしていただくのがよいと思います。

またもし行き詰まったり、どのような形式がよいかなど迷う場合は、一旦ブラウザでChatGPTに切り替えて相談すると打開できることも多いです。生成AIを切り替えることが最適解になることもあります。私は生成AIのスイッチングをよく行っています。

まとめ

今回は、生成AIを実際の診療業務にどのように活用できるかという、できるだけ具体的な一例をご紹介しました。このように「すぐに使える」「実務で役に立つ」と実感できる形で取り入れていくと、生成AIやプログラミングに対するハードルも下がり、自然と興味が出てくるのではないかと思います。導入のきっかけとして、一度試していただくのがよいのではないかと考えています。

今回ご紹介した内容自体は比較的基礎的なものではありますが、VS Codeを導入し、Claude Codeを組み込み、ファイルを指定して対話しながら生成・編集していく、という一連の流れができるだけでも、実務の幅は大きく広がります。さらに、これに対話型AIであるChatGPTなどを組み合わせていくことで、日常業務の中でできることは今後さらに増えていくと思います。今後もこうした具体的な活用例については、引き続きご紹介していきたいと思います。

About the author この記事を書いた人:内科診療所の院長

IT企業でもコンサル会社でもなく、診療をしている開業医が、コードの作成から運用まで一人で行っています。取り上げるのは、実際に試して運用しているものだけです。

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