電子カルテ・医療システムを操作する記事です。ご使用のシステムの利用規約を確認のうえ、自己責任でお試しください。患者さんの情報は、外部の生成AIに送らないでください。
電子処方箋のたびにHPKIセカンドへ医籍登録番号を手入力するのは地味に面倒。manifest.jsonとcontent.jsの2ファイルだけで作れる、自分専用Chrome拡張による自動入力の仕組みを紹介します。
今回は、電子処方箋へのログイン業務に関する、ちょっとしたTipsをご紹介します。本当に些細な工夫ではありますが、毎日繰り返す作業を少しだけ効率化できました。
当院では電子カルテとしてM3デジカルを使用しています。電子処方箋を利用する際には、デジカルの「HPKIログイン」から「HPKIセカンド電子証明書認証プラットフォーム」を開き、ログインする必要があります。セキュリティ上の理由からログイン状態を長期間保持することはできず、基本的には診療を行う日に毎回ログインし直すような運用になっています。
ログイン操作自体は特に難しいものではありませんが、その都度、ユーザー名として医籍登録番号を入力しなければなりません。私の環境では、なぜかブラウザやパスワード管理ソフトの自動入力機能がうまく働かず、毎回この6桁の番号を手入力する必要がありました。たった数文字を入力するだけではあるものの、毎日繰り返していると、これが意外にストレスになります。
そこで今回は、Google Chromeの拡張機能を使い、このログイン画面を開いたときに、自分のユーザー名が自動的に入力されるようにしてみました。省略できるのは、ユーザー名を入力するという、たった一つの操作だけです。それでも毎日行う作業であるため、実際に自動化してみると、煩わしさはかなり軽減されました。
本当に小さな改善ではありますが、同じように毎回の入力を面倒に感じている先生もいらっしゃるかもしれませんので、今回、その方法を共有させていただきます。
Google Chromeの拡張機能を試作する
Google Chromeは、日常的な検索だけでなく、電子カルテ以外のさまざまな業務でも利用されており、スマートフォンを含めて普段から使っている先生も多いと思います。特にパソコン版のGoogle Chromeでは、機能を追加できる「拡張機能」を利用している先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は私も今回初めて知ったのですが、このChrome拡張機能は自分で作成することができます。作成した拡張機能をChromeウェブストアで一般公開しようとすると、開発者登録や審査などが必要になるため、やや手間がかかります。一方、自分のパソコンだけで使用するのであれば、必要なコードを作成し、それをローカル環境からChromeに読み込ませるだけで利用できます。
自分のパソコンで使用するだけであれば、Chromeウェブストアへの申請や審査も必要ありません。コードの内容を自分で確認したうえで読み込むことができ、外部へ公開する必要もないため、小規模な業務改善を試す方法としては比較的取り組みやすいと思います。
今回の拡張機能の作り方も非常に単純です。具体的な手順については生成AIに整理してもらいましたので、ここからはその内容をもとに、実際の作成方法をご紹介します。
Article
HPKIセカンド電子証明書認証プラットフォームへのログインをChrome拡張で自動化する(安全な自作方法)
図や表を使って、別のページにまとめています。
たった一手間でも自動化する価値がある
ほとんどのサイトでは、Google ChromeにパスワードやユーザーIDを保存し、自動入力する機能が用意されていますので、通常はそれで問題ないと思います。ただ、私が当時このHPKIのログイン画面でChromeの自動入力機能を使おうとしたところ、なぜかうまく動作しませんでした。少し試行錯誤した結果、今回ご紹介した方法にたどり着いたという経緯があります。
今後のアップデートによって、Chromeのパスワード管理機能や自動入力機能だけで対応できるようになれば、この拡張機能は不要になるかもしれません。ただ、今回作成したものは非常に軽いスクリプトであり、自分のパソコンに保存してローカルで使用するだけですので、外部に公開する拡張機能と比べると管理もしやすいと思います。
毎朝M3デジカルを使用し、HPKIへのログイン時にユーザー名を毎回入力することを手間に感じている先生には、試していただく価値があると思います。あらかじめ番号をクリップボードにコピーしておき、貼り付けるだけでもよいのですが、その一度のコピー・アンド・ペーストさえ、毎日続くと意外にわずらわしいものです。私のように、その一手間も省略したいと感じる先生には、特に向いていると思います。
初めてChrome拡張機能を作成する先生でも、おそらく30分程度あれば導入できるのではないかと思います。30分をかけることで、その後ずっと毎日の一手間を減らせると考えれば、決して悪くない時間の投資です。ご自身の環境で同じような不便を感じている先生は、ぜひ試していただければと思います。
プログラミングというと、以前ご紹介した病名チェッカーのように、ある程度の時間をかけて作るものや、大がかりなシステムを想像するかもしれません。しかし、今回のように、本当に些細な作業を一つ減らすだけのプログラムもあります。省略できるのは一つの入力操作にすぎませんが、それでも毎日使っていると確実に楽になります。一度使い始めると、元の手入力には戻りたくなくなる程度には便利なツールです。
こうした小さな自動化は、一つ一つの効果はわずかでも、日常業務の中で積み重なると意外に大きな差になります。まずは毎日繰り返している作業の中から、「この一手間をなくせないか」と考えてみることが、業務効率化のきっかけになると思います。
今回の拡張機能は、プログラミングの経験がほとんどない先生でも、手順どおりに進めれば十分に作成できる内容です。途中でうまく動かない場合も、表示されたエラーメッセージや作成したコードをChatGPTなどの生成AIに提示すれば、修正方法を提案してもらえます。その意味でも、生成AIを使った小規模な業務改善の入り口として、おすすめしやすい題材だと考えています。