クリニックのホームページをWordPressから自前のサイトに移行しました

PUBLISHED 開発 #Claude Code #ホームページ

テンプレートの更新終了をきっかけに、クリニックの公式ホームページをWordPressから生成AIで作った自前のサイトへ移行した経緯と、感じたメリット・注意点をまとめました。

以前、当サイトで、開業医向けの開業支援サイトをWordPressから独自に制作したホームページへ移行したというお話をご紹介しました。その後、医師の転職に関するサイトについても、同じような理由からWordPressをやめ、生成AIを活用して制作した独自サイトへ移行しています。

こうした経験を重ねるうちに、どうも私にとっては、WordPressを使い続けるよりも、自分でサイトを構築した方が管理しやすく、セキュリティ面でもメリットがあるのではないかと考えるようになりました。そこで今回、実際に運営しているクリニックの公式ホームページについても、試しに自前のサイトへ移行してみることにしました。今回は、その経緯や実際に移行してみて感じたこと、また、開業医の先生が同じように自分でホームページを作る場合の注意点についてご紹介したいと思います。

そもそもWordPressをやめるつもりはありませんでした

以前のサイトをWordPressから独自サイトに移行した詳しい経緯については、関連記事をご覧いただければと思いますが、正直なところ、私はもともとWordPressをやめるつもりはありませんでした。実際、それほど困っていたわけでもなく、長年使い慣れていたこともあって、そのまま使い続けてもよいと考えていました。ところが、利用していたテンプレートの更新が終了してしまったことで、セキュリティ上の懸念が生じるようになりました。WordPressそのものが危険というわけではありませんが、更新が止まったテンプレートやプラグインを使い続けることには、やはり一定のリスクがあります。

さらに、私が気になっていたのは、生成AIの急速な進化によって、サイバー攻撃を仕掛ける側も生成AIを活用するようになっているということです。脆弱性の調査や攻撃の自動化など、攻撃する側の技術も進化しており、以前よりもセキュリティについて慎重に考える必要があると感じていました。この記事を書いている時点でも、国内では企業や医療機関などに対する不正アクセスや情報流出のニュースが相次いでいます。これだけ情報流出が相次ぐと、日本国内で個人情報が一度も流出していない人はいないのではないか、という声もあるほどです。どのような組織であってもサイバー攻撃とは無縁ではいられない時代になっているのではないでしょうか。そのような状況で、更新が終了したテンプレートを使用し続けることには、以前よりも大きな不安を感じるようになっていました。

実際にWordPressへの不正アクセスも相次いでいました

私が運営していたWordPressのサイトには、以前から不正アクセスを検知するためのプラグインなどを導入していました。例えば、ログインに一定回数失敗すると、それ以上ログインできなくなるような仕組みも設定しており、特に何も対策をしていなかったわけではありません。そこでは不正なログイン試行などを検知したというレポートが、毎週のようにメールで届いていました。多いときには数百件ものアクセスが記録されており、こうした状況が続くのを見ると、やはり何らかの対策を考えなければならないと感じます。

もちろん、実際に不正ログインが成功したことはありませんでしたし、サイトが改ざんされるような被害も経験していません。しかし、攻撃の試みがこれだけ繰り返されているという状況を考えると、いつまでも同じ状態で放置しておくのは好ましくないと考えるようになりました。そのような事情もあって、最初に開業支援サイトをWordPressから独自サイトへ移行することになったわけですが、結果として、この移行が私のホームページに対する考え方を変えるきっかけになりました。

自前のサイトを作ってみると、想像以上に自由度が高かった

セキュリティ上の問題とは別に、実際に独自サイトを作ってみて感じたのが、デザインや管理の自由度の高さです。WordPressでも、さまざまなテンプレートやプラグインを活用すれば、かなり自由にホームページを作ることができます。ただ、実際に使っていると、ほんの少しデザインを変更したいだけなのに、思った以上に手間がかかることがあります。例えば、ちょっとした余白を調整したい、文字の配置を変えたい、色味を少し変更したいといったことでも、テンプレートの仕様によっては簡単に実現できないことがありました。

ところが、生成AIを利用して独自サイトを作る場合、そうした細かな変更が非常に簡単にできるようになります。例えば、ここの余白をもう少し狭くしたい、ボタンの色を変えたい、スマートフォンで表示したときの配置を調整したいといったことを生成AIに伝えれば、実際のコードを修正してくれます。自分で細かくプログラムを書き直さなくても、かなり自由に変更できるわけです。もちろん、生成AIが作ったコードを確認したり、修正結果を検証したりする必要はありますが、少なくとも私にとっては、WordPressのテンプレートを調整するよりも、こちらの方が思いどおりのものを作りやすいと感じました。

そして何より、完成したサイトのデザインが自分自身でかなり気に入ったということも大きかったと思います。最初はテンプレートの更新終了によって、仕方なく移行作業をすることになったわけですが、実際に完成してみると、以前よりも自分の好みに合ったサイトができあがりました。当初は、余計な手間が増えてしまったという気持ちもありましたが、結果的にはサイトのデザインも改善でき、日常的な管理も自分に合った方法に変更できたわけです。面倒だと思っていた移行作業が、思いがけず業務改善につながったというのは、なかなか興味深い経験でした。

管理画面をなくすことで、セキュリティ面にもメリットがある

もう一つ、実務上の大きなメリットだと感じているのが、セキュリティ面です。WordPressを利用したことのある先生であればイメージしやすいと思いますが、WordPressにはブラウザからアクセスできる管理画面があります。管理者のIDとパスワードを入力することで、インターネットに接続できる環境であれば、基本的にはどこからでも記事を編集したり、サイトの設定を変更したりすることができます。これはWordPressの大きな利点ですが、一方で、管理画面への不正ログインを試みる攻撃者にとっては、攻撃対象となる入口が存在していることにもなります。

そこで、今回私が作ったサイトでは、そもそもサイトを編集するための管理画面を設けないという方法を採用しました。ホームページの更新は、生成AIを利用している自分のパソコンから行い、SSHなどの暗号化通信を使ってサーバーに接続し、必要なファイルを更新する仕組みにしています。これによって、少なくともWordPressで繰り返されていたような、管理画面へのログインを狙う攻撃については、その対象となる入口自体をなくすことができました。

もちろん、これですべてのサイバー攻撃を防げるわけではなく、サーバーにアクセスするための認証情報や、作業に使う自分のパソコンの管理は引き続き必要です。それでも、以前のように不正ログインの試行が大量に記録される管理画面を持ち続ける必要がなくなったことは、私にとって大きな安心材料になりました。この考え方については、別の記事で詳しくご紹介しています。

クリニックのホームページを見直すよい機会にもなりました

今回、実際にクリニックのホームページを作り直してみたところ、思っていた以上に満足できる仕上がりになりました。基本的なデザインについては、以前のホームページの雰囲気をほとんど踏襲しています。まったく違うデザインに変更したというわけではなく、これまで使っていたものをベースにして、以前から少し気になっていた部分を修正するような形にしました。配置や余白なども調整し、以前よりも見やすくなったのではないかと思っています。

また、実は最初にホームページを作ったあと、しばらく大きな変更をせずに運用していたこともあり、情報が古くなっている部分もありました。今回の移行を機に、不要になった情報を整理したり、現在の診療体制に合わせて内容を変更したりすることもできました。ホームページというものは、一度作ってしまうと、特に大きな問題がない限り、そのまま運用を続けてしまいがちです。今回のように、サイトそのものを作り直すという機会があったことで、内容も含めて改めて見直すことができたのは、結果的によかったと感じています。

初めてホームページを作るなら、今でもWordPressは有力な選択肢

ここまで独自サイトのメリットについてお話ししてきましたが、だからといって、これからホームページを作る先生に対して、最初から独自サイトを作ることを勧めるかといえば、必ずしもそうではありません。私自身、開業支援サイトの記事でも、初めてホームページを作るのであれば、今でもWordPressを利用するのがよいとお伝えしています。実際、WordPressには長年蓄積されてきた情報がありますし、テンプレートも豊富で、プログラミングの知識がなくてもある程度完成度の高いサイトを作ることができます。

一方で、ある程度ホームページの仕組みを理解し、生成AIを利用したプログラミングにも慣れている先生であれば、自前のサイトを作るという選択肢も十分に考えられると思います。特に、Clinic Tech Labをご覧になっている先生の中には、ITや生成AIにあまり抵抗がなく、自分でさまざまなシステムを構築されている方もいらっしゃると思います。そのような先生にとっては、WordPressにこだわらず、独自サイトを検討する価値があるのではないでしょうか。

最初から公開する必要はありません。まずは自分のパソコンの中で、試しにホームページを作ってみればよいわけです。生成AIに、どのようなサイトを作りたいのか、どのようなデザインにしたいのかを伝えるだけでも、かなり形になったものを作ってくれます。参考にしたいホームページがあれば、その雰囲気を参考にして作ることも可能です。

私も最初から問題なくホームページを作れたわけではありません。いろいろと試しているうちに、データを消してしまったり、思うように動かなかったりと、失敗も経験してきました。そのため、初めての先生がいきなりクリニックの本番環境で試すことについては、慎重になった方がよいと思っています。WordPressを一度使ってみること自体にも、十分に意味があります。実際に触れてみることで、ホームページの仕組みや管理の方法について学べますし、その後に独自サイトを作る場合にも、何が便利で何が不便なのかを比較しやすくなります。私自身、WordPressを時代遅れのものだと考えているわけではありません。あくまで、いろいろと経験した結果、自分の運用方法には独自サイトの方が合っていると感じているということです。

生成AIとSSH、Laravelを使ったサイト構築

実際に独自サイトを作る場合、少し面倒になるのが、作ったホームページをどのように公開し、どのように更新していくかという部分です。WordPressであれば、ブラウザ上の管理画面から文章を編集したり、画像を追加したりできます。しかし、独自サイトでは、そうした編集機能が最初から用意されているとは限りません。WordPressと同じようにブラウザから編集したいのであれば、自分で管理画面やエディターを作る必要が出てくる場合もあります。ただ、私の場合は、そのような管理画面を作らず、ローカル環境で生成AIに修正を依頼し、その結果をサーバーへ反映する方法にしています。この方法であれば、編集用のシステムを別に構築する必要がありませんし、管理画面を外部に公開しなくてよいというメリットもあります。

最初に少し面倒なのは、ターミナルからSSHという通信方法を使って、サーバーへ安全に接続するための設定です。初めて触れる先生にとっては、少し難しく感じる部分かもしれません。ただ、これについても生成AIに手順を確認しながら進めれば、以前に比べて取り組みやすくなっていると思います。一度仕組みを理解して設定できれば、ほかのプロジェクトでも同じ知識を活用できますので、覚えておいて損はない技術だと感じています。

また、私の場合は、Webサイトの開発にLaravelというフレームワークを利用しています。LaravelはPHPというプログラミング言語のフレームワークで、オープンソースとして公開されています。認証やセキュリティ対策など、Webアプリケーションを構築するうえで必要になる機能が体系的に用意されており、適切に利用すれば、すべてを自分で一から実装するよりも安全で効率的に開発しやすくなります。Laravelは広く利用されているフレームワークなので、生成AIも関連する知識を豊富に持っており、開発を進めるうえで非常に扱いやすいと感じています。もちろん、Laravelを利用すれば自動的に安全になるというわけではなく、適切な設定やアップデートなどは必要です。

ほかにもさまざまなフレームワークがありますので、必ずしもLaravelを使う必要はありません。私の場合は、もともとPHPからプログラミングを始めたこともあり、その延長でLaravelを使うようになりました。現在も慣れた環境で開発を続けているというところが大きく、このあたりは個人の好みや、それまでの経験によって選択すればよいと思っています。

今後のホームページ運営について

現在、私が運営しているサイトについては、WordPressでの公開・運用をいったん休止し、基本的には独自に制作したサイトへ移行しています。今回、クリニックの公式ホームページについても移行したことで、自分が管理しているサイトは、ほぼ同じような考え方で運用できるようになりました。

もともとは、WordPressのテンプレートの更新が終了してしまったという、どちらかといえば消極的な理由から始まった移行作業でした。しかし、実際にやってみると、セキュリティ面だけでなく、デザインの自由度や日々の管理のしやすさなど、さまざまなメリットがあることが分かりました。もちろん、すべての先生にこの方法を勧めるつもりはありません。特に、ホームページの作成が初めてであれば、WordPressを利用する方が簡単な場面も多いと思います。ただ、生成AIを利用した開発にある程度慣れている先生であれば、ホームページを自分で作り、自分で管理するという方法も、以前に比べてずっと現実的な選択肢になってきたのではないでしょうか。

今回の経験を通じて、これまで当たり前のように使っていたサービスについても、生成AIを活用することで、より自分に合った形に作り直せる可能性があると改めて感じました。なお、Clinic Tech Labについても、今回の移行に合わせて外観を大きく変更し、記事の見やすさやサイト全体の使いやすさを改善しています。今後も実際に運用しながら、少しずつ改良を重ねていきたいと考えています。

About the author この記事を書いた人:内科診療所の院長

IT企業でもコンサル会社でもなく、診療をしている開業医が、コードの作成から運用まで一人で行っています。取り上げるのは、実際に試して運用しているものだけです。

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