電子カルテ・医療システムを操作する記事です。ご使用のシステムの利用規約を確認のうえ、自己責任でお試しください。患者さんの情報は、外部の生成AIに送らないでください。
デジカルとTampermonkeyを組み合わせることで、抗原検査結果入力や病名転帰、eGFR計算、問診転記などの日常業務を大幅に効率化できます。今回は私が実際に毎日使用している機能を動画で紹介しながら、どのような改善が可能なのかを具体的にお示しします。
今まで何度か触れてきたTampermonkeyですが、今回は実際の画面を一部共有しながら、具体的な活用例をご紹介しようと思います。やはり文字で説明するよりも、動画で実際の動きを見ていただいた方が、その効果を実感しやすいのではないかと思います。今回は実際の画面をお見せしながら補足説明も加えていきますので、導入を検討されている先生方の参考になれば幸いです。
Tampermonkey実運用動画
動画補足説明
今回は、Tampermonkeyの機能の中でも比較的汎用性が高いと思われるものをいくつかピックアップし、動画にまとめてみました。
動画内では、
抗原検査結果登録
病名転帰登録
eGFR自動計算+T-Chol自動計算・入力
カルテ転記+問診ハイライト
患者メモ挿入
カルテ記載補助
の順にデモを行っています。
それぞれどのようなことをしているのか、順番に補足説明をさせていただきます。
抗原検査結果登録
こちらは主に発熱外来で使用しているツールで、抗原検査の結果をワンクリックで入力できるものです。すべて陰性の場合は、「全て陰性」のボタンをクリックし、その後「登録」を押すだけで入力が完了します。実質2クリックで処理が終了します。本来、抗原検査結果を入力する場合は、検査結果入力画面を開き、対象となる検査項目までスクロールしたうえで、結果を一つひとつ入力する必要があります。そのため、1件あたり20秒程度かかります。しかし、このツールを使用すると数秒で入力が完了し、入力ミスも防ぐことができます。
以前はプログラマブルキーボードや、自作したWord Paletteのマクロ機能などを利用して入力を効率化していました。しかし、実際に運用してみると、このツールの方が圧倒的に速く、現在はこちらを主に使用しています。
病名転帰登録
こちらは、カルテを開いている日を基準として、同日に登録された疑い病名を当日付で中止に転帰し、それ以外の急性病名については14日後に治癒へ転帰するツールです。
用途としては、インフルエンザやCOVID-19の検査結果が陰性だった場合と、急性病名の転帰です。忘れないうちに同日付で疑い病名を中止に転帰できるほか、その日に開始となった急性上気道炎などの病名についても14日後に自動で治癒へ転帰してくれます。また、疑い病名のみ、あるいは疑い病名以外のみを対象にすることも可能で、治癒日についても14日後ではなく任意の日付に変更できます。
もともとデジカルの病名転帰機能は、一括で転帰することも可能です。例えば、インフルエンザ疑いとCOVID-19疑いをまとめて中止にしたり、急性病名をまとめて治癒に転帰したりすることも純正で可能です。ただ、実際には同じような操作を毎日のように繰り返すため、その都度発生する細かなクリック数が気になっていました。このツールを使用すると、それらの処理がワンクリックで完了するため、日々の手間が大きく削減されています。
おまけの機能として、不要な病名をワンクリックで削除する機能も実装しています。私は診察の流れをスムーズにして、かつ病名漏れを防ぐため、発熱外来ではインフルエンザ疑いやCOVID-19疑いの病名をあらかじめセット引用で登録しておくことが多いのですが、検査を行わなかった場合には削除する必要があります。この作業も意外と手間がかかるため、まとめて処理できるようにしています。
これらは本来、1件あたり20秒程度かかる作業ですが、このツールを使用すると数秒で入力が完了し、入力ミスも防ぐことができます。発熱患者さんが1日20人いた場合、1件あたり20秒短縮できるだけでも約7分の短縮になります。1つひとつは小さな改善ですが、毎日繰り返す作業だからこそ効果は決して小さくありません。
eGFR自動計算+T-Chol自動計算・入力
こちらは、任意の血液検査実施日について、クレアチニンの結果がある場合に、患者さんの性別と年齢を自動で取得し、eGFRを計算したうえでワンクリックで入力できるツールです。
動画では少し分かりにくいのですが、実は単純な計算機能だけではありません。直近の血液検査の中からクレアチニンが含まれている検査日を自動で検索し、その日付を取得するところまで実装しています。そのため、直近の血液検査結果であれば、日付を手入力する必要すらありません。T-Cholについても同様の仕組みで動作します。
多くの検査会社では、クレアチニンを測定するとeGFRもあわせて算出してくれることが一般的です。しかし、検査会社によっては項目ごとに費用が発生するため、eGFRが別項目扱いになるケースもあります。1回あたりの金額は数十円程度ですが、このようなロジックを一度作ってしまえば、いつでも無料で、即座に計算・入力することができます。
また、T-Cholについても、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールの値があれば、自動で計算しワンクリックで入力することが可能です。T-Cholについても、検査会社によっては自動で算出してくれる場合がありますが、有料の場合もあります。このような計算処理は一度仕組み化してしまえば、追加コストなしで継続的に利用できるため、地味ではありますが非常に便利です。
私は以前、これらの計算をその都度、スマホのアプリで行っていました。特にeGFRは計算式が複雑なため、多くの先生方と同様に計算アプリを利用していたのですが、毎回アプリを開いて入力する作業が徐々に煩雑に感じるようになりました。そこで、この処理自体をカルテ上で完結できるようにしたのがこのツールです。
カルテ転記+問診ハイライト
こちらは、私が日常診療で毎回活用している機能の一つです。
まず、発熱外来などでよく確認する「症状が出た日はいつですか」という問診項目についてです。デジカルでは日付が「2026/06/01」のような形式で表示されますが、曜日が表示されません。そのため、少し見づらいと感じていました。また、発症日から診察日まで何日経過しているかは、特に発熱外来では重要な情報になるため、一目で分かるようにしたいと考えたのが開発のきっかけです。このツールでは、発症日の曜日や経過日数を自動で表示するようにしています。診察中に頭の中で日数を数える必要がなくなり、情報の把握がしやすくなりました。
また、妊娠の有無などの重要な問診項目についても、視認性を高めるためにハイライト表示を行っています。例えば女性患者さんの場合、妊娠に関する項目は回答状況に応じて色分けされ、妊娠中の場合はより目立つように表示される仕組みになっています。
さらに、問診票に記載された「本日受診された症状」や発症日、発熱に関する情報などを、カルテのS)欄へ自動転記する機能も実装しています。以前は問診内容をコピー&ペーストしていましたが、その作業すら徐々に煩雑に感じるようになり、自動化することにしました。
動画ではボタンを一度押すだけのシンプルな動作に見えますが、実際には複数の処理が同時に動いています。見た目は地味ですが、日常診療で繰り返し行う作業を減らすという意味では、かなり実用性の高い機能になっています。
患者メモ挿入
こちらは、受付一覧などにも表示される患者メモを簡単に登録するための機能です。このメモは日付が変わっても引き継がれるもので、患者さんごとに継続的に確認したい事項を記録するために使用しています。例えば、診察時に確認しておきたいことや、受付時に気を付けたいこと、あるいはマイナンバーカードを利用するかどうかといった情報を登録しておくことで、一覧画面からすぐに確認できるようになります。
もちろん、通常の方法でもメモ画面を開いて入力するだけなので、決して面倒な作業ではありません。しかし、日常的によく使うメモについては、その都度画面を開いて入力する作業が少しずつ負担に感じるようになりました。そこで、本当によく使うものだけをボタン化し、ワンクリックで登録できるようにしています。一方で、あまり使用頻度の高くない項目までボタン化してしまうと、かえって画面が見づらくなってしまいます。そのため、どの項目をボタンとして配置するかは、実際の運用を見ながら調整しています。
このあたりはTampermonkeyの大きな利点の一つだと思います。ご自身の診療スタイルや運用に合わせて、よく使う機能だけを追加し、細かく最適化できるためです。市販のシステムではなかなか難しいような微調整も、自分で自由に行うことができます。
カルテ記載補助
こちらはいわゆるワードパレットに近い機能で、定型文の入力を支援するツールです。私が以前勤務していた病院の電子カルテにも似たような機能があり、ボタンを押すだけで身体所見や定型文を呼び出すことができました。実際、多くの電子カルテでは何らかの形で実装されている機能だと思います。しかし、デジカルには現時点では同様の機能が見当たらなかったため、自分で作成しました。
こちらも動画では分かりにくいのですが、実際にはかなり細かい部分まで作り込んでいます。例えば「今日のS」を挿入した場合は、入力後にカーソルが自動でSの記載位置へ移動し、そのまま続けてカルテ入力ができるようになっています。また、「食事は摂れている」を挿入した場合は、自動で改行が入るため、その後も連続して所見を追加しやすくなっています。さらに、体重入力用のテンプレートでは、挿入後にカーソルがkgの直前へ移動するため、そのまま数値だけを入力できます。そのほかにも、「小児喘息なし」のような定型文については、カルテへ挿入すると同時にサマリーへも自動反映するなど、単なる定型文入力にとどまらない処理も行っています。標準的な電子カルテのワードパレット機能でも定型文を呼び出すことはできますが、ここまで細かな動作を診療スタイルに合わせて調整することは難しいです。
自分でツールを作る場合は、日常診療で感じる小さな不便を一つひとつ解消していくことができます。そして、そのような改善を積み重ねていくと、わずか1クリックやカーソル移動1回ですら減らしたくなってくるものです。こうした細かな最適化は診療時間を劇的に変えるものではありません。しかし、毎日何十回、何百回と繰り返す作業だからこそ、その積み重ねが意外と大きな差になります。
まとめ
今回ご紹介したのは、私が実際に毎日のように使用しているTampermonkeyのツールの一部です。このほかにも、例えば保険資格の有効性を自動で確認して結果を取得する機能など、日常診療で役立っている仕組みはいくつかあります。ただ、動画化するにあたっては個人情報の取り扱いに配慮する必要があるため、今回は公開しても問題のない範囲の機能に絞ってご紹介しました。実際のところ、Tampermonkeyでできることは非常に多く、工夫次第で多くの業務を効率化できます。
また、個人的にはデジカルとTampermonkeyの相性は非常に良いと感じています。デジカルはもともと動作が軽快で、画面遷移や操作もスムーズに動く電子カルテです。そのため、このような機能を多少追加しても動作が重くなりにくく、比較的快適に運用できます。Tampermonkeyを使って改善を続けていると、「ここも改善できるのではないか」「この作業も自動化できるのではないか」と考えるようになり、少しずつ自分専用の電子カルテへと進化していきます。いわば電子カルテの最適化です。
今回の記事では、その一例として私が実際に利用している機能をご紹介しましたが、できることはまだまだたくさんありますし、私自身も現在進行形で改良や追加実装を続けています。少し極端な言い方をすれば、電子カルテ上で行う定型的な作業であれば、思いつくものは大体実現出来ると思います。
もしデジカルを利用されるのであれば、Tampermonkeyもぜひ活用してみてください。使い始めると、電子カルテの可能性が大きく広がるのではないかと思います。